2016年11月14日 星期一

【研討會】第14回日本台湾学会関西部会研究大会

2016年11月14日
日本台湾学会会員各位
台湾史研究会各位
日本台湾学会関西部会係
台湾史研究会事務局

第14回日本台湾学会関西部会研究大会

 師走の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
本年度も下記の要領で第14回日本台湾学会関西部会研究大会を開催いたします。皆様にはふるってご出席くださいますようお願い申し上げます。
 本年度も日本台湾学会と台湾史研究会との共催で行います。




日時:12月17日(土) 12時45分(受付開始)~
場所:京都光華女子大学
   
 各報告 報告25分 コメントと質疑応答 15分


<プログラム>
  13:00~14:35 第1部  司会:澤井律之
①格差への認識と台湾の対外政策:対中接近か南向政策か(仮)
吉田知史(同志社大学・院)
評論:北波道子(関西大学)

 台湾の対外政策をめぐっては、対外経済政策が最大の要素であろう。
 高所得化と少子化が進んだ国においては、資本家は労働集約型産業の生産拠点を安価な労働力が多く手に入れられる国へ移転させるか、安価の労働力として移民を受け入れるように政府に求めるだろう。つまり、全方位的な開放だ。その一方、労働者側は移民の制限など保護主義的な政策を求める。そして、この自由主義と保護主義の中間には、報告者が「選択的開放」と定義する選択した相手のみとの経済交流を推進する政策が存在するだろう。
 蔡英文政権までの台湾においては、陳水扁政権を含めて漸進的な対中接近・開放が続けられ、また同時に他国との関係の強化をも図る全方位的開放政策が採られてきた。一方、蔡英文政権においては、その漸進的な対中接近を明確に停止しようとする動きが見られる。この背景には、格差が開いてきてるという認識がある。例えば、「両岸権貴」に対する批判などだ。これによって、台湾の対外経済政策は「選択的開放」へと変化した。
 但し、陳水扁時代の「積極管理・有効開放」政策などがこの仮説に対する反証として挙げられよう。しかし、これは政権の安定性から説明が加えられる。政権の安定性が低い時には、アイデンティティ・ポリティクスが吹き出し、それによって政策が左右されることがあるのだ。


②マルクス主義への傾倒から台湾独立思想の誕生へ
 ――史明の台湾独立思想の原点についての考察
郭鋭(神戸大学大・院)
評論:滝田豪(京都産業大学)

 周知のとおり、史明は台湾の歴史家であり、台湾独立運動家でもある。1950~1960年代、多くの台湾独立運動を行う団体は日本を拠点とし、台湾の独立を目指して様々な活動に積極的に取り組んできた。そのなかで、史明が結成した「独立台湾会」は積極的に台湾島内の地下工作と大衆運動に携わった。しかしながら、世間に一般的に知られていないことではあるが、台湾独立運動を開始する以前、史明はマルクス主義と反帝国主義の理想を追求し、中国大陸で中国共産党による抗日運動にも参加したことがある。これは興味深い点であろう。
 本研究は史明を研究対象とする。第一に、史明がマルクス主義の理論に傾倒した後、日本から中国大陸に渡って中国共産党による抗日運動に参加した経緯を明らかにすることによって、この過程における史明の思想動機形成の軌跡を解明する。第二に、史明が中国共産党の地方組織の下で抗日運動に携わった詳細、及び中国共産党と決別して最終的に台湾独立運動を開始する道のりを明確にすることによって、このような手段の変化から見出せる史明の台湾独立思想の原点、すなわちマルクス主義と台湾独立思想との共通点を考察する。


③戦後・冷戦期の日本華僑社会に対する中華民国政府の模索
 ――「大陸出身者」の活躍と国民党支部の再建
岡野翔太(大阪大学・院)
評論:未定    

 これまで、戦後・冷戦期の日本華僑社会に関する研究は、主に中華人民共和国に共鳴した華僑や華僑団体に関する論考が中心で、中華民国側華僑団体の動向に関しては明らかにされてこなかった。
 中華人民共和国の建国前後、日本華僑社会では在日台湾人や旧満州国出身留学生を中心に各団体の左傾化が顕著なものとなっていたが、一方の中華民国側は、国民党の改造ならびに日華平和条約の締結を契機として、在日華僑団体の整頓に取り掛かり、中華民国への求心力を維持させようとした。そこで注目すべきは、台湾を経由して来日する大陸出身者の存在である。
 彼らはいずれも中国国民党員で、来日まもなくより華僑学校・華僑総会といった在日華僑団体に関わりを有し始めた。彼らが関わりを見せ始めたほぼ同時期、中国国民党の駐日各支部の再建も進んでいく。本報告では、大陸出身者の存在を手掛かりとして、現在、便宜的に「中華民国(台湾)系」と呼ばれる華僑団体がいかに、「中華民国系」として機能するようになったのか明らかにしたい。

 14:35〜15:50  休憩
 
 14:50〜15:20  第2部 司会:未定

④仏教の地域社会化と祭祀圏の変容
村島健司(関西学院大学)
評論:五十嵐真子

 現代台湾仏教は、戦後に誕生した大型道場を中心に活動が展開されている。本発表が対象とする慈済会はその代表的な団体で、1966年に誕生以降、戒厳令解除や九二一大地震などを通して急激な成長を果たし、現在では台湾内外に多数の会員を抱えている。
 慈済会は1997年を契機に、個人の人脈を中心とした活動の展開ではなく、より地域に根ざした活動を目指し、各地区を一つの単位とした組織へと全面的な改編を行っている。一方、慈済会が進出を果たした台湾の地方社会には、歴史的に道教や民間宗教が地域社会に根ざした活動を展開してきた。つまり、慈済会が地域社会へ進出することによって、慈済会と従来から地域社会に存在してきた民間宗教という、異なる二つの宗教が地域社会の生活世界において邂逅することになる。
 本発表では、九二一大地震の被災地のひとつでもある南投県草屯鎮におけるフィールドワークをもとに、慈済会が民間宗教との関わり合いの中で組織や活動を展開していく様子を描き出していきたい。草屯鎮を調査対象として選定した理由は、多くの人類学者によって民間宗教に関する様々な研究成果が発表されているからであり、なかでも林美容による一連の研究成果は出色である。本発表ではこうした民間宗教に関する研究蓄積、特に戦後台湾で地域社会と宗教について論じられる際に用いられてきた「祭祀圏」概念を土台に、慈済会を中心とした現在の調査研究を重ね合わせることによって、異なる二つの宗教が地域社会においていかに交わりあい、互いに影響を与えながら、地域住民とかかわりあっているのかについて考察する。


⑤日本統治時代における刑事事件の「未成年犯罪者」
林政佑(京都大学・院)
評論:やまだあつし(名古屋市立大学)

 本報告では、日本統治時代の台湾の地方法院の刑事裁判記録の分析を通じて、 司法実務における「未成年犯罪者」に対する法的解釈や運用実態を考察する。 これまでの先行研究では、日本統治時代の台湾において近代法と教育観念等の 学識とが絡み合うことで構築されていた「未成年者」という概念が導入されて いることに着目し、特に制定法の変遷、精神医学の言説によって呈された不良 少年概念や未成年犯罪者の処遇等の側面に活発な研究がされている。しかし、「未成年犯罪者」に関する法的運用実態については、まだ十分に検討されてい ない。一方、今迄の日本統治時代裁判記録が利用されている研究ではあまり法 概念の論理を分析していなかった。その時代の裁判官は「未成年犯罪者」に対 してどのように理解していたのか。この概念は「成人犯罪者」と分けて考えら れてきたのかという法思想側の問題を解決するだけではなく、裁判記録で呈す る「未成年犯罪者」の犯罪や逸脱の動向を掘り下げて、その特徴と意味を捉え たい。これらの考察を踏まえて、未成年の概念、近代法と植民地主義に関わる 理論とを問い直す。本報告では、日本統治時代の台湾の地方法院の刑事裁判記録の分析を通じて、 司法実務における「未成年犯罪者」に対する法的解釈や運用実態を考察する。 これまでの先行研究では、日本統治時代の台湾において近代法と教育観念等の 学識とが絡み合うことで構築されていた「未成年者」という概念が導入されて いることに着目し、特に制定法の変遷、精神医学の言説によって呈された不良 少年概念や未成年犯罪者の処遇等の側面に活発な研究がされている。しかし、「未成年犯罪者」に関する法的運用実態については、まだ十分に検討されてい ない。一方、今迄の日本統治時代裁判記録が利用されている研究ではあまり法 概念の論理を分析していなかった。その時代の裁判官は「未成年犯罪者」に対 してどのように理解していたのか。この概念は「成人犯罪者」と分けて考えら れてきたのかという法思想側の問題を解決するだけではなく、裁判記録で呈す る「未成年犯罪者」の犯罪や逸脱の動向を掘り下げて、その特徴と意味を捉え たい。これらの考察を踏まえて、未成年の概念、近代法と植民地主義に関わる 理論とを問い直す。


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